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2013年1月25日 (金)

ベッドの中の宇宙、または水琴窟

20120330_001

水琴窟は日本庭園の仕掛けの一つで、手水鉢の水が地中に埋められた甕の中に一滴ずつゆっくりと滴り落ちるとき、水滴が水面に落下する瞬間に、その水音が甕の空洞に反響してえもいえぬ妙なる響きを奏でる。一つの音が響きやむと、そこに生じた真空に次の水滴が引き寄せられるように落下して次の音が響く。二つの音は絶妙の沈黙を挟んで、連続する。

ところで、本部で会議のあるときたいてい幕張駅近くの中級ホテルで宿泊するが、先日寝入る前にベッドのシーツに耳をつけていると、ベッドの内部から水琴窟のような音が聞こえた。「ルリーン」というような柔らかな金属音が波動となって広がり、一つの音が響きやむくと、しばらくしてベッドの内側の別の場所から、まるで「こだま」が帰ってくるような音の波動が寄せてきた。

不思議な感触に襲われた。宇宙空間で星が墜ちるような音(まだ聞いたことはないが、流れ星が落ちるとき耳を澄ますと聞こえてきそうなそんな音)。一つの星の墜落が何億光年か離れた別の星の墜落を誘い出しているような感じだった。不規則に連続する音を聞きながらやがて寝入ってしまった。翌朝、何だったのだろうと考えていて、やがてあれはベッドのクッション・バネがきしむ音だったのだと気がついた。ベッドの中の宇宙。壺中の天。

ふとドストイェフスキーのことばを思い出した。「一切万物は大海のようなものだ。すべては流れ入り、互いに触れ合うのだ。どこか一箇所で何かを動かしたら、それは必ず世界の別の一端で反響するのだ。」

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