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2012年9月14日 (金)

Flamma Vestalis(ヴェスタの炎)

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Flamma Vestalisとは、「ヴェスタの炎」というラテン語だが、ローマ神話のかまどの神ヴェスタの巫女のことを指しているらしい。この小さなエッチング(15X40センチ)はエドワード・バーン=ジョーンズ展(兵庫県立美術館で開催中)で私がもっとも心ひかれた一枚だ。

背景をなす風景の細部に至るまで丹念に描かれた少女像。少女の表情には、レオナルド・ダ・ヴィンチのマリア像を彷彿とさせる高貴な精神性が宿っている。

エドワード・バーン=ジョーンズ(1833-1896)はダンテ・ガブリエル・ロセッティの薫陶を受けたプレ・ラファエリズム(ラファエル前派)の画家で、キリスト教中世への憧憬をテーマに、中世の聖ゲオルギウスなどの聖者伝説、「円卓の騎士」などの中世騎士譚、「いばらり姫」などの伝承説話、そしてギリシャ神話に取材した作品を多く残した

それらはほとんどすべてが寓意(アレゴリー)画で、描かれている人物たちは細密に描かれれば描かれるほどに、リアリティをはぎ取られ、血の通った人間としての厚み・奥行きを失っているように見える。しかし、描かれた素材が美しくも虚ろな器であれば、観る者はそこに自分の想像力を自由に存分に注ぎ込むことができる。リルケの言う「世界内面空間」での自由な飛翔が可能になる。

下のタペストリー(壁掛け)は、バーン=ジョーンズの原画によってウイリアム・モリス工房が制作した「巡礼を導く愛」の一部。「愛」の天使は弓矢を手にしているが古代神話のキューピッドではなさそうだ。沼地を越えて「愛}が「巡礼」を導く先は、キリスト教的な愛の王国であろう。天使の足元にカワセミが描かれている。カワセミは、何の寓意だろう。

冒頭に掲げた「ヴェスタの炎」には、むしろ想像力の自由な飛翔を拒む厳しい美しさがあるように思われた。

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