« ハクセキレイとゴイサギ | トップページ | サザンカの咲く道 »

2011年11月16日 (水)

映画 『ゲーテの恋』を見る

ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~

センターの学生さん、といってももう80歳をとうに超えたご老体のNさんだが、「『ゲーテの恋』を見てきました」と弾むような大声。そういう映画がどこかで今上映中らしいことは知っていたが、表題の大仰さから少しばかり敬遠していた。「よかったですよ。ドイツ語ですわ。これは先生にご報告せな思いまして」と、まるでお孫さんでも生まれたような嬉しそう顔。こちらもついつい釣られて「そら、ぜひ見に行かな」と応じてしまった。

そこで昨日の朝いちばんに梅田のテアトルに出かけた。「朝イチ」、というのも9時半から1回だけしか上映しないというので仕方がなかった。「お客さんは6人だけで、貸切みたいなもんでしたわ」とNさんも。何といってもゲーテではいまどき客足は期待はできまいと、興行主さんも考えたのだろう。

やっぱりドイツ映画だ。テーマに真正面からガチンコ勝負。「ひねり」も「すかし」もない。映画のゲーテは一本気で感傷家、やや鈍感なKY。演じる俳優はハンサムで、ゲーテのそっくりさん。恋のお相手ロッテは、朗らかでお茶目で健気で積極的。能天気なお二人さんだが、まあなかなかよくできた映画で楽しめた。中部ドイツの風景もきれいだった。お薦め。

問題は、映画が終始ヴェルテル・イコール・ゲーテで押し通しているところだ。ゲーテはじつはもっと複雑な人物で、ヴェルテル陶酔者であると同時にヴェルテル批判者でもあるからだ。

ケストナーとゲーテの決闘場面が出てくる。そんな伝記的事実はもちろんないが、「フィクション(詩)」は「事実」よりも「真実」を伝えるということらしい。そんな自分を見たらゲーテは顔をしかめるだろうな。ゲーテは決闘するくらいなら、とっとと一目散に逃げ出すタイプだ。血を見ることが何より嫌いなのだから。

ゲーテ君は決闘騒ぎで放り込まれた監獄で『ヴェルテルの悩み』を執筆。送られてきた原稿をロッテが出版社に持ち込んで陽の目を見ることになり、ゲーテ君は一躍時代の寵児に。これではケストナー氏は永劫に浮かばれまい。ロッテの「勇み足」というものだ。そんなことがあろうはずはないと思うが、「まあいいか!」。映画には映画の行き方がある。

« ハクセキレイとゴイサギ | トップページ | サザンカの咲く道 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1221163/43021522

この記事へのトラックバック一覧です: 映画 『ゲーテの恋』を見る:

« ハクセキレイとゴイサギ | トップページ | サザンカの咲く道 »

2017年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        

星座 (リンク集)

無料ブログはココログ