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2010年11月 9日 (火)

片翼の天使

アイゼナッハのヴァルトブルク城で出会った天使は、右の翼と右腕の先がもがれた片翼の天使だった。「古拙な」という表現が正しいのかどうか自信はないが、その何とも控えめなほほえみにつよく心を惹かれた。

数日後ヴェルニゲローデで、家内の腰痛がひどくなってきたので、簡単なコルセットを求めて薬局に入った。まだ少女の面影を残した若い女性店員さんは、私たちの要領を得ない説明に気長に静かに耳を傾けて、症状に合った品を出して来てくれた。控えめな笑顔を絶やさない女性だったが、別れ際にその女性の右腕の先がないことにふと気がついた。それまで、私たちもその女性もそのことを当たり前のことのように思って、意識に上らなかったのだった。

帰国して写真を整理していて、ヴァルトブルクの片翼の天使とヴェルニゲローデの薬局の女性がそっくりのように思えてきた。いやいや、たしかに「うりふたつ」だった。

ピッティ美術館のラファエロの聖母子像、サン・マルコ寺院のフラ・アンジェリコの受胎告知図の美しさに息を呑んだが、今いちばん忘れがたいのはヴァルトブルクとヴェルニゲローデの片翼の天使だ。

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コメント

こういう天使の像は、あるようでないですよね。
ウィーンの博物館にたくさんありましたが、
「詰め込まれてる」感じであまり感銘を受けず。
それにしても、旅での出会いは心に残りますね。

多くの出会いがいつしか記憶のそこに沈んでいきます。しかしふとしたきっかけで、目を凝らすと、記憶の水底に遠い姿が沈透(しず)き見えることがあります。遠いのに、近くのものよりももっとくっきりと生き生きと見えてくる。旅の想い出でもそうですね。

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