« 稲垣仲静・稔次郎兄弟展 | トップページ | モナルダ »

2010年7月 5日 (月)

バラ ― なにびとのものでもない眠り

この春は陽ざしが少なかったせいか、バラの季節になってもヴェランダのバラは今ひとつ生彩を欠いていた。ただ一輪、ゆっくりと白んでいく朝の空のような淡いピンクのバラだけが、私の心に寄りそってきた。

Dscn3478

幾重にも折り重なった薄紅の花弁。「バラよ、花弁の奥に秘めているものは何?」と思わず心の中で呟きたくなる。リルケなら、バラに代わって「なにびとのものでもない眠り」と答えるだろう。

「バラよ おお 純粋な背理よ。/ 幾重にも折り重なったまぶたの下で / なにびとのものでもない眠りを眠ることの喜び。」(リルケの墓碑銘)

"Rose, oh reiner Widerspruch, / Lust, / Niemandes Schlaf zu sein / unter soviel Lidern."

Niemand (なにびとでもない者) とは誰?と問うこと自体「純粋な背理」だが、ひとは誰しもときに 「なにびとでもない者」(Niemand)でありたいと思う。

見知らぬ土地を旅する喜びは、現し世の柵(しがらみ)から自由になってひととき「なにびとでもない者」に帰ることだ。旅では「透明人間」になった気がして深呼吸する。旅上で眠る自分の上には、万象が雪のように音もなく降り積むような気がする。

« 稲垣仲静・稔次郎兄弟展 | トップページ | モナルダ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

今年のわが家の鉢植えのバラたちは受難で、
どれもこれも病気になってしまいました。
生き残るのはどれだ〜!な世界で、
なかなか優雅に鑑賞できません…。

おじゃままさんの庭のバラもそうでしたか。
どこの公園のバラにも例年の華やぎがないので、これはやっぱりお天気のせいかな?
バラが割りを食っているこのご時世、きっと
その分元気のいい花もあることでしょうね。
普段は引っ込み思案かもしれない、そんな花々を見つけてやりましょう。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1221163/35273281

この記事へのトラックバック一覧です: バラ ― なにびとのものでもない眠り:

« 稲垣仲静・稔次郎兄弟展 | トップページ | モナルダ »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

星座 (リンク集)

無料ブログはココログ