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2010年6月 7日 (月)

ゾーヴァの箱舟

注文していたミヒャエル・ゾーヴァ(Michael Sowa)の画集『ゾーヴァの箱舟(Arche Sowa)』が届いた。ゾーヴァのいろんな絵本から取ってきた55枚の絵は、どれも不思議な魅力に満ちている。何だか哀しくて、何だか可笑しくて、少しグロテスクで、おおいに謎めいている。

ゾーヴァは1945年生まれのドイツの絵本作家(または挿し絵画家)。『ちいさなちいさな王様(Der kleine Koenig Dezember)』以来、私は彼の絵のファンだ。ゾーヴァの絵は見ても見ても、見飽きることがない。というより、見ているうちに頭がぼんやりしてきて、いつの間にか時間が経ってしまう。まるで「時間泥棒」みたい。

多くの絵には、おもく雲の垂れ込めた(北ドイツらしき?)風景の中に、ブタやニワトリやイヌやヒトの不思議な<たたずまい>が描かれている。風景は、木の葉の一枚一枚、雲の一片一片、砕け散る水しぶきの一粒一粒まで、細密画のようにリアルに描き込まれていて、空気の重さが見る者の膚に直接触れてくるようだ。

そして、一枚の絵に描かれているすべては、ヒトもトリもケモノもモノも、どれもがお互いに対してそっけないほど無関心だ。絵を見ている者に対しても。

<今、ここに、こうしてあるだけ>。今という時間が、過去からも未来からもきれいさっぱりと切り離され、どんな来歴(いわく因縁)、どんな主義・主張も語りかけてこない。描かれているすべてのものの間に、価値のどんなヒエラルキー(位階秩序)も存在しない。

それでいて、一切のものが<今、ここに、こうしてある>ことの<かけがえのなさ>、<おかしさ>、<哀しさ>、<せつなさ>を黙って惻々と語りかけてくる。

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コメント

うーん、絵本の絵とは思えない…
でもブタさんが「絵本です」と教えてくれました(笑)
霞がかかったような、でもクリアーな画ですね。
脳のどこかをつつかれますね〜。

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