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2010年3月 4日 (木)

伊賀上野

一月ほど前、焼物を見るために伊賀上野を訪れた。伊賀焼と忍者と芭蕉で有名な城下町だが、町の知的で端正なたたずまいに心惹かれる。いつ訪れても、その思いを裏切られたことがない。

いつものように、『古陶館』に立ち寄ってから『土味(どみ)』、『一片陶(いっぺんとう)』を回った。『土味』は谷本洋さんのギャレリーだ。お城の大手門前という好立地と瀟洒な構え、訪問者への行き届いた応対が心地よい。もちろん、『土味』の焼物がすばらしいのは言うまでもない。

(あたらし)歓司・学さん父子の『一片陶』もすてきなお店だ。お城の裏手、伊賀鉄道上野市駅からJR伊賀上野に向かう道沿いにある。歓司さんの奥様がお店におられて、遠来の客に気さくにいろんな話題を提供してくださる。

焼締め特有の強さ・重厚さに武家風の豪放磊落さが加わり、さらに濃緑のビードロ釉がかもし出す透明感が、伊賀焼の魅力だ。谷本さんの作品にはヨーロッパ風の明るく洗練された趣きがあり、新父子の陶器には自然の荒々しさがあって、両者は対照的だが、私の趣味では甲乙つけがたい。今回、いちばん惹かれたのが、新歓司の花生け(下の写真)。

それにしても、小さいが品格のあるこの町も、たいていの地方都市の例に漏れず、津波のように押し寄せてくる時代の趨勢(均質化と効率化)を前に、なすすべもなく立ち竦んでいるように見える。人々の生活に溶け込んでいた小売り店舗にシャッターが下り、通りにかつての張りと気合がなくなってきている。

早く手を打たなければ、長い歴史が育んできた大切なものが根こそぎ奪われ失われてしまうのではないか、苛立ちと焦りを覚えているのは私だけではあるまい。

かつてこの町を訪れる楽しみの一つだった蕎麦屋さんがなくなって、おいしい蕎麦がきが食べられなくなった。八幡宮の裏手にある和菓子の「伊勢や」さん(写真、下)の絶品「黒蜜饅頭」もぜひとも残しておいてほしいものだ。

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コメント

最近、子供たちが「赤影」にハマっています。
子供たちの間では忍者ブームがしぶとく生き残っています。
伊賀は彼らにとっては「聖地」のひとつのようですよ。

伊賀上野では忍者の貸衣装屋さんがあって、子どもたち(若いアベックや外国人たちも)、忍者になって町見物。私も子どもの頃、チャンバラごっこでは忍者と鞍馬天狗の役が好きでした。風呂敷を頭に巻いたりして。

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