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2010年2月18日 (木)

あわせ鏡 ― 『イヴの総て』

中島みゆきの歌を夢中になって聴いていたのは1980年代の前半だっただろうか。レコードLP盤を十数枚も買い込んで繰り返し聴いた。そのLP 盤も今は眺めるだけのものになってしまった。その中に「あわせ鏡」という歌があって、

 グラスの中に自分の背中がふいに見える夜は / あわせ鏡を両手で砕く / 夢が血を流す

という歌詞が見える。「グラスの中に自分の背中がふいに見える」とは、中島みゆきならではの秀逸なフレーズだ。背中は「老い」をもっともよく映す。

最近,、ジョセフ・マンキーヴィッツ監督の映画『イヴの総て』(1950)を見たが、その最後の場面に合わせ鏡が出てきて、ふと中島みゆきの歌を思い出した。

『イヴの総て』は、栄光の頂点に立つブロードウェー女優のマーゴ(ベティ・デイヴィス)が崇拝者として近づいてきた若いイヴ(アン・バクスター)に目をかけ、そのあげくイヴに栄光の座を奪われる物語である。すさまじくも仮借ない「下克上」が、一見可憐な女性によって演じられているだけに、恐い。

映画のエンディングで、そのイヴに憧れて彼女の部屋を訪れた<さらに若い女性>がイヴの目を盗んで、彼女のドレスをはおり合わせ鏡の間に立つ。そして、鏡に向かってにっこり微笑みかける。

若さの微笑と老いの背中。無数のイヴ(とアダム)のはてしない連鎖。ため息をつきながら映画を見た。

イヴの総て~オール・アバウト・イヴ・コレクション

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コメント

中島みゆきさんが好きだったとは…。驚きました。
「若さ」を追求するコマーシャリズムに最近うんざりしています。
年を重ねるのが素敵なことだと思えるようになりたい…。
ま、単に年取ってきたからでしょうけれど。

「この空を飛べたら」とか「ルージュ」とか「雀」とか、かなり好きです。井上陽水も好きですよ。「雨」とか「氷の世界」とか。二人とも、詩がいいですね。
歳を取るって、けっこういいものだと最近やっと思えるようになりました。脱いで、捨てて、離れて、吹く風の心地よさが肌にじかに感じられる、そんな感じ。そりゃ、寒いですけど・・・

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