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2009年12月25日 (金)

鵼(ぬえ)

「鵼」または「鵺」と書いて「ヌエ」と訓(よ)む。『平家物語』巻第四の最終章は「鵼」と題されている。

カモの青緑の「風切り羽」について調べたとき、その箇所に行き当たった。源三位頼政が、夜な夜な宸襟を悩ませる怪物を退治せよと朝廷に呼び出されたとき、「(郎党の)井早太(いのはやた)に<ほろのかざきり>はいだる矢負わせて」馳せ参じる。

「東三条の森の方より黒雲一村(くろくもひとむら)立ち来たって、御殿の上にたなびいたり。」射ち落としてみれば、「かしらは猿、むくろは狸、尾はくちなわ、手足は虎の姿なり。鳴く声鵼(ぬえ)にぞ似たりける」とある。(岩波文庫『平家物語』)

頭は猿、胴体は狸、尻尾は蛇、手足は虎、とはまことに奇怪、正体不明の怪物である。声が似ていたとされる「鵺」は注釈に拠れば<トラツグミ>のことで、体全体に「三日月形の黒斑を持ち、夜、人の悲鳴に似た鳴き声を立てるので、凶鳥として」忌み嫌われたそうだ。

夜に鳴くので「鵺鳥(ぬえどり)」と呼ばれたトラツグミは、いつしか正体不明の怪物にその名を奪われたばかりか、同一視さえされるようになったようだ。

というわけで、私の撮ったのは不幸なトラツグミではあるまいかと思っているが、<ヌエ>にふさわしい正体不明の<ヌエ>的写真となってしまった。

ちなみに、「鵺」(夜+鳥)がなぜ「鵼」(空+鳥)となったか。「空」には<うつろな、気味の悪い>の意味があるからだ。(藤堂明保編『漢和大辞典』)

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コメント

ヌエがいるとは思ってもみませんでした。
こわーいお話に時々登場しますね。
1年ほど前か、夜中に悲鳴を聞いて驚いて窓を開けると、
鳥の声だったということがありましたっけ…。
それが、ヌエだったのでしょうか。

おじゃままさんが聞いたのはきっとヌエだったにちがいまりません。その悲鳴に似た声を、私も聞いてみたいような、聞きたくないような。
子どものころ、宮山の森はいろんな幻獣・幻鳥の巣窟だったような気がします。深夜に森の方から聞こえてくるホーッホーッというフクロウの声が、今も耳に残っています。

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