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2009年12月15日 (火)

レモンの花咲く国

ヴェランダの鉢植えのレモンが黄色く色づいた。今年の五月に植木市で買った苗木だ。最初から一つだけ<ウズラのたまご大>の実がついていた。やがてふたたび白い花が咲き、そのうち四つの花が結実した。合計五つ。

いずれは緑のままに落果するものと思い込んでいたが、「それまでは」と毎朝<レモンの子>の五つの顔を見て安堵した。暑い夏のあいだも健気に少しづつ着実に大きくなっていった。

それでも「黄色くならない」というのが家人の見通しだったが、私は依怙地に黄色くなると言い張った。「賭けようか?」「いいよ。」という<リアリスティックな>やり取りもあったが、家人は私の情緒過多に辟易していたのかもしれない。

酸っぱい夏みかんに重曹をふりかけて食べていた私の子どもの頃、レモンはまだ西洋の香りがするロマンチックな(または文学的な)果実だった。梶井基次郎『檸檬』、高村光太郎『レモン哀歌』、ゲーテ『君よ知るや南の国』、然り。若い世代に<レモンのロマン主義>はあるまい。レモンは今や立派なリアリズムの果実にちがいない。

三十五年ほども前、三月の末に南ドイツに旅したことがあった。ちょうどヨーロッパ全体を大寒波が襲い、ミュンヒェンでは骨を噛むような寒さに辟易し、滞在を早々に切り上げ、イタリアへ向かった。ヴェニスは大雪、サン・マルコ広場は白一色で、観光客の姿も見えない。フィレンツェに向かう列車の窓から次第に雪景色が消え、草の緑、アーモンドの白い花、そして緑の葉陰に輝くレモンを見たときは「トスカーナの春」を思い、「南の国」へ来たことに感動したものだった。

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コメント

こんにちは。
「おじゃまま」です。
先程帰宅した家人から、ブログをやっていらっしゃると聞いて、
さっそくお邪魔させていただきました。
これからもちょくちょくよらせていただきます。

おじゃままさん、こんにちわ。コメント頂いて、ありがとうございました。自分のためにだけに書いているつもりですが、読んでくださった方の声が遠くから聞こえてきたりすると、赤面しながらやっぱり嬉しい。引きこもりの日々の人懐かしさ、でしょうか。今後ともどうぞよろしく。

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