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2009年10月 2日 (金)

チェーホフの風景 その3

ウラジーミル・ナボコフの『ロシア文学講義』は、ロシア文学にとどまらず、総じて文学とは何か(それはまた人生とは何かということでもある)を教えてくれる稀有な指南の書である。

「何はともあれ銘記すべきは、文学作品とは思想のパターン(「綾織り」とでも訳すべきか)ではなく、形象のパターンであるということなのだ。作品のなかの形象の魔力と比べれば、思想など何ほどのものでもない。」

「私たちがチェーホフの短篇群の到る所に見るものは絶え間ない躓(つまず)きだが、それは星を見つめていたために躓いた男(または女・・・筆者)の躓きである。それらの人物たちは夢見ることはできたが、指図することはできなかった。(・・・)彼らはいくたびも機会を逸し、行動を避け、いくたびも夜を徹して築くことができもしない世界の図面を引いた。だが、そのような情熱に満ち、自己犠牲の精神に燃え、魂の純粋さと精神の高さとを保った人間がかつて確かに生きていたし、冷酷で卑しい今日のロシアのどこかに現在なお恐らくは生きているという事実――単なるその事実が、すなわち、世界全般によりよい事態が到来することの約束ではないだろうか。なぜなら、自然界のみごとな諸法則のなかでたぶん最もみごとな法則は、一番弱いものが生き残るということであるからだ。」

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