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2009年8月26日 (水)

『地獄の黙示録』と『闇の奥』

フランシス・フォード・コッポラ監督の『地獄の黙示録』(1979)を(何度目になるだろうか)また見た。ベトナム戦争<を>圧倒的な迫力で描いた作品であるというまっとうな批評は、<にもかかわらず>ほとんど的外れかもしれないという気がした。史実としての「ベトナム戦争」が描かれているのではない。そこにあるのは、戦争というかたちを取った「人間の狂気」であり、この映画の製作に関わったスタッフの狂気に近い<映画的振舞い>である。

コッポラの『ゴッドファーザー』3部作もしかり。デーモン(悪霊)に取り憑かれることなしに、こんな映画を作ることは出来ない。しかしデーモンなくして、どこに映画があるのかと思わないわけでもない。

『地獄の黙示録』はジョセフ・コンラッド(1857-1924)の『闇の奥( Heart ob Darkness)』を原作としている。コンラッドもまたデーモンに取り憑かれた人間を描きつづけた作家だ。象牙商人としてコンゴの奥地に滞在するクルツを訪ねることになった船乗りマーロウは、コンゴ河をはるかに遡った密林の奥地で、死と恐怖によって原住民を支配しているクルツを見た。すでに病重篤なクルツは、マーロウの腕の中で、「地獄だ。地獄だ」とつぶやきながら息絶える。

「闇の奥」とは、コンゴ原生林の奥深い闇であると同時に、人間の心の闇、人間を駆り立てている文明の闇であろう。『地獄の黙示録』のコッポラを突き動かしているのもまた、同じ人間の心の闇なのである。

 地獄の黙示録/Apocalypse Now (Redux) - Soundtrack

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