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2009年8月25日 (火)

ベルリン 天使の笑顔

ベルリン国際陸上の女子マラソンでの尾崎好美選手の走りはじつにみごとだった。マラソン競技は何よりも<自己との戦い>であることを、ゴール後のさわやかな笑顔が語っていた。

尾崎選手の走りとともに、ベルリン中心部の新しくなった景観を二日間にわたって存分に楽しませてもらった。

ベルリンには2度、1976年1月と1995年8月に訪れた。

1度目のときは壁崩壊以前で、真冬のせいもあってベルリンの町全体が西も東も灰色の憂愁に包まれていた。冷戦の緊張感を、気だるい表情の下に押し隠していたのであろう。ヴィム・ヴェンダース監督の『ベルリン天使の詩』(1987)が当時のベルリンの雰囲気を伝えている。(『ベルリン 天使の詩』には、新しい時代の胎動が遠い海鳴りのように響いているが・・・)

それから10年後の1995年の夏、ベルリンはクレーンが林立し、町全体が工事現場のように埃っぽかった。国会議事堂は工事用のテントですっぽりと覆われていた。

マラソンの中継で見たベルリンの今は、過去の滓(おり)をきれいさっぱりと洗い流したかのように清潔で、眩しく輝いていた。ウンターデンリンデン、ティーアガルテンの木々の緑も、人々の笑顔も。しかし、ベルリンの<匂い>がしないように思ったのは気のせいだろうか。

ベルリンが再びベルリンの匂いを取り戻すまでには、世紀単位の時間を要することだろう。ベルリンの<自分との戦い>はまだ始まったばかりだ。急ぐことも焦ることもない。尾崎選手の走りと笑顔を見て、そう思った。

ベルリン・天使の詩 デジタルニューマスター版 [DVD]

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