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2009年8月 6日 (木)

ボケとツッコミ 勝ったのやら負けたのやら

大阪人の<ボケとツッコミ>は、おそらく商売の世界が生み出したものだろう。売り手と買い手の対等な関係においてお互いに的確に<間合い>を測ること、それが商取引の基本だからだ。そこには<上から目線>も<下から目線>もない。

「なんぼなんでも高すぎやがな。べんきょうしといてや」「そんなん儲けありまへんが。ほんま、かなんな。ほな、気持ちだけ負けさしてもらいますわ」。どっちが勝ったのやら負けたのやら、それを「言わぬが花」の大阪文化なのである。

しかし、<ボケとツッコミ>は必ずしも商売の世界にかぎらない。<もの>であれ<こと>であれ、ひとが共同で行うすべての生産・制作活動に<ボケとツッコミ>の役割分担は不可欠のものだろう。

鍛冶場で師と弟子とが向かい合って同じ鉄床(かなどこ)に交互に鎚(つち)を振り下ろすことを「相鎚(あいづち)」という。<気(呼吸)>がぴったりと合った相鎚から、はじめてすぐれた作品が生み出される。餅つきの<つき>と<返し>も同様だ。大切なことは、<相鎚>にしろ<つきと返し>にしろ、決して機械的なリズムを刻んではいないことである。相方の<気>の変化を全身で受け止めてそれに寄り添おうとすると、そこに絶妙の<間>、時計では測れない<生命(生活)のリズム>が生まれてくるのである。

牧村史陽編『大阪ことば事典』(昭和54年刊 講談社学芸文庫)は、大阪人の生活と心を描いてこんなに楽しい事典はない。広くて深い。「上方絵の第一人者四世長谷川貞信」のさし絵が、これまた見飽きることがない。

 仰山(ギョォサン)に言(ゆ)うて 指先ふれただけ(文女)

大阪ことば事典 (講談社学術文庫 (658))

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