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2009年8月13日 (木)

長谷川幸延 『大阪歳時記』

図書館でチラッと覗いた長谷川幸延の『大阪歳時記』に、思わず「これだ!」と膝を打った。大阪についての「目から鱗」の薀蓄(うんちく)が絶妙な語り口で自在に語られている。幸延は舞台脚本家。<西鶴の衣鉢を継ぐ>とまで言っていいのかどうかはわからないが、浪花の戯作者といったところか。明治37年(1904)、大阪曽根崎に生まれ、祖父母の手で育てられたとある。明治、大正、昭和前期というと、大阪にまだ古い習俗が残っていた時代である。

『大阪歳時記』の奥附を見ると昭和46年3月1日第1刷とある。西暦1971年は大阪万博の翌年で、日本が高度成長にひた走っていた時代である。急速に失われてゆく浪花の風情に対する愛惜が随所に感じられて、大阪を愛するものには興趣尽きない書物である。

8月の歳時記として「大阪の夏の夜の景物詩の一つ」である「夜店」が挙げられている。そう言えば、昭和20年代には、豊中駅前の西口広場(広場は今は第3セクターの意味不明のビルに変わっている)にも毎月夜店が立ったように記憶している。

裸電球のにぶい光の下に並んでいたのは「万華鏡や回り灯籠、綿がしん(電気アメ)、蟹の梯子のぼり、べっ甲飴、別製アイスクリン(クリームに非ず)、も一つまけとけトコトン飴、竹の足のついた動く影絵、樟脳の放射で水の上を走る舟、水中花」などと幸延は書いている。何が何だかよくは分からないが、まるでワンダーランドではないか。

幸延は小学校の3,4年のころ新学期の教科書をぜんぶ夜店の古本でそろえたことがある。「受け持ちの先生が『ほう。これぜんぶ夜店でか?立派なもんや」と笑って肩をたたいてくれた。が、祖母はちょっと涙ぐんで『そない、しまつせんでもええのんに・・・・』といったが、祖父にはそっと『あの子、大きなったら、お金のこしまっせ・・・・』」

最近古書で入手したが、もっと広く知られていい本だ。表紙絵は夜店の情景か。

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