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2009年7月23日 (木)

もう一人のマリリン サマンサ・モートン

私が今いちばん<入れあげている>女優は、イギリス人俳優サマンサ・モートンである。ハーモニー・コリン監督『ミスター・ロンリー』(2007)で彼女を見初めたのは、つい最近のこと。「おっぱいがふくらみ始めてからずっと」マリリン・モンローのものまね芸で生きてきた女(サマンサ・モートン)が、「生れ落ちてからずっと」マイケル・ジャクソンと自己同一化してしか生きられない若者(ディエゴ・ルナ)とパリで出会った。マリリンはマイケルをものまね芸人たちの共同生活(スコットランドの湖沼地方の共同農場)に誘う。彼らは自前で小屋をつくり、ビッグな興行を目論んでいるのだ。チャプリン、サミー・デイヴィスJr.マドンナ、ジェームス・ディーン、シャーリー・テンプル、リンカーン、赤頭巾ちゃん、エリザベス女王、ローマ法王のそっくりさんたちがマイケルを温かく迎えてくれた。シャイで不器用で「他者としてしか」生きられない人たちとの滑稽で、温かで、悲しい心の交流。チャプリン芸人を愛しつつ、いつしかマイケルに心が傾きはじめるマリリン。サマンサ・モートンは、そんなマリリンの悲しみと苦悩を、まなざしと口元の表情で語ってみせた。「心に秘められた感情は口のまわりに出る」とは写真家土門拳の言葉だが、サマンサの口元の表情は語りつくせない感情の奥行を表現して秀逸だった。

『ギター弾きの恋』(1999)では唖者として表情と身ごなしでしか語れない娘の切ない恋を見事に演じきった。『コントロール』(2007)では、天才ロック歌手の破滅的な人生に呑み込まれるイギリス下層階級の娘を演じて印象的だった。

 Movie/ミスター ロンリー

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