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2009年6月17日 (水)

アルヴォ・ペルトのティンティナブリ様式

満天の星も漆黒の闇も、私たち都会人には今や縁遠いものになった。45年もまえ三方五湖の湖畔の宿に泊まったとき、湖面に広がる濃密な闇にほとんど畏怖に近いものを感じたことがあった。以来、あれほど深い闇を経験したことはない。闇の深さを知っていた昔の人たちは、また満天の星降る夜の壮麗さも知っていたことだろう。夜の静寂(しじま)に天空を渡ってゆく星々の輝きを見て、人々は無数の<星の鈴>が奏でる厳かな宇宙の音楽(harmonia mundi)を聞き取った。エストニアの作曲家アルヴォ・ペルトのティンティナブリ(鈴ふり)様式の音楽を聴いていると、星々が鈴の音を響かせながら夜空を渡ってゆくのが<見える>ようだ。ペルトの「タブラ・ラーサ」(文字の書かれていない白紙の意)は、「静寂を聴くこと」が音楽のもっとも大切な要素であることを教えてくれた。

ギドン・クレーメルとクレメラータ・バルティカのアルバム『シレンシオ(沈黙)』には、ペルトの「タブラ・ラーサ」と「ダルフ・イッヒ(Darf ich)?」が含まれている。「ダルフ・イッヒ?」とはドイツ語で「いいですか?」という問いかけである。誰に対する問いかけなのだろう。それは音楽から聴き取るほかない。ペルトの幼な児のような<含羞(はにかみ)>の表情が浮かんでくる。

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