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2009年6月 7日 (日)

銀の滴降る降るまわりに

「銀の滴(しずく)降る降るまわりに 金の滴降る降るまわりに」と歌いながら、梟(ふくろう)の神(kamui)が人間の村(ainukotan)の上を通ってゆく。知里幸恵編訳『アイヌ神謡集』の冒頭である。

<Shirokanipe ranran pishkan, konkanipe ranran pishkan>

というのが、アイヌ語原音のローマ字標記である。私は声に出して読んでみる。何と不思議な美しい響きだろう。20歳で亡くなった知里幸恵が、己が命を代償に私たちに残してくれたこの<ユーカラ(歌謡)>が、彼女自身の声で歌われるのを聞きたかったと思うのは私だけではあるまい。しかし、私に正しい発音はできなくとも、一度全部を通して原音を声に出して読んでみたい。

梟の神は、貧しいが実直な家族の家に招じ入れられる。「私は私の体の耳と耳の間に座っていましたが、ちょうど真夜中時分に起き上がりました。私が羽ばたきをすると、私のまわりに美しい宝物、神の宝物が美しい音を立てて落ち散りました。」

「私は私の体の耳と耳の間に座っていた」とは摩訶不思議な表現だが、註記によれば、鳥や獣(の神)は人間の間に出てくるときはそれぞれに鳥や獣の姿をした冑(かぶと)を身に纏っている。鳥や獣の(神としての) 本体は人間の目には見えないが、耳と耳の間にいるとされているそうだ。

アイヌ神謡集 (岩波文庫)

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